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第 5 章
関数の定義
記号から数式オブジェクトを作成したり,複数の数式を組合せて関数を作成する場合は関数定義コ マンドを利用します. 関数定義機能は非常に強力なツールです. 実際に定義を行う前に,関数,定 数,式の名称について解説します.
• 誤った関数名の利用方法: ∆F (2文字と理解される),π,e(標準定数として既に利用されて いる),fab(下付き文字が2文字ある),r′(ダッシュ記号は微分記号用に確保されている).
関数名としてf123を利用することができます. この下付き文字は3桁の数値として解釈されます.
5.1.2 カスタム名
一般的に,関数名や数式名は1文字で命名します. もちろん,下付き文字を付けてもかまいません. しかし,プログラムには予め定義された関数—たとえばgcd, inf, lcm—があります. これらは複 数の文字で構成されていますが, 1文字定義の関数や数式と同じように動作します. したがって, この複数文字による関数名はbackspace キーを一回押すと,すべての文字が削除されます. これ と同じスタイルの関数名や数式名を独自に作成することができます.
カスタム名には演算子と,関数または変数の2種類があります. ダイアログでカスタム名の種類に 演算子を選択すると,例えば∑
や
∫
の場合のように添え字の位置を選択します. 一方,関数ま たは変数の項目を選択した場合は,通常の文字に下付き文字や上付き文字を付ける要領で操作し ます.
この2種類の例をインラインとディスプレイの場合に分けて以下に示します.
• インラインでの演算子: ∑n k=1,∫1
0 , operatorba
• インラインでの関数または変数: functionjk, variabledc ディスプレイにおける演算子と,関数または変数:
n
∑
k=1 1
∫
0
operatorb
a functionjk variabledc
◮ カスタム名を作成する
1. 数式名アイコン をクリックするか,または挿入+数式名とします. 2. 数式名の下にあるテキストボックスにカスタム名を入力します. 3. 種類の項目で演算子,関数または変数を選択します.
5.1 関数名と数式名 99
4. 演算子の場合は添字の位置を指定します.
5. 数式モードでカスタム名を入力した時に,自動的に灰色で表示する場合は自動置換の項目を チェック,.OKボタンをクリックします.
ダイアログを閉じると登録したカスタム名が画面に灰色で表示されます. 関数や数式を定義する際 に,このカスタム名を利用することもできます. 入力した灰色のカスタム名は通常のテキストと同 じようにコピー,貼り付け,ドラッグできます. これを編集する場合は数式名ダイアログで行ない ます.
5.1.3 自動置換
関数名sin, arcsin, gcdなどを数式モードで入力すると自動的に灰色で表示されます. ツール +
自動置換と操作すると,このような機能をもった関数の一覧が表示されます.
自分で名前を付けて登録するカスタム関数や変数についても,自動置換ダイアログを使って同じよ うに灰色表示させることができます.
◮ カスタム名を自動的に灰色表示させる
1. ツールメニューから自動置換を選択します.
2. 目的のキーストロークを入力します. キーストロークはカスタム名などの短縮形を使うと便 利です.
3. 自動置換のテキストエリアにカーソルを移動します. このダイアログが表示されている状態 のまま,数式名ボタン をクリックします.
4. 数式名ダイアログを使って,キーストロークに反応して自動的に入力される実際の式を作成 します.
5. OKボタンをクリックします. 自動置換のテキストエリアにカスタム名が灰色で表示され
ます.
6. 保存ボタンをクリックし,さらに, OKボタンをクリックしてダイアログを閉じます. 自動置換に関する解説はオンラインヘルプにも用意されています.